①これもまたシアターの日常を思わせる生きたライブ
12話は1話丸ごとライブというめちゃくちゃ贅沢な構成。
アニメとしても凄くご褒美感があるんですが、ただ冷静に考えるとシアターの日常でもあるんですよね。
ミリオンライブは自前の劇場で定期公演を行っているのが特徴で、過去のコミカライズ作品でも舞台袖の様子なんかがライブシーンとともに克明に描かれてきました。
直前の11話で合宿やってたこともあって、改めて自分達の家でライブをやってる感がめちゃくちゃ強かったです。
アニメの最終話であると同時に、ゲームや漫画で描かれてきた日常の香りがして、それがまた12話以降の彼女達の姿が想像できて、それが本当にウキウキする気分にさせます。
本当にミリオンライブの空気感が好きだと改めて実感できました。
②フェスタ・イルミネーション
オープニングが終わり、最初を飾ったのが徳川まつり!
翼が手を挙げなかったら彼女がソロ1発目になるんだってことは、これまでの話を見てたらまぁ分かります。
担当プロデューサーでなくてもそこは満場一致で認めるでしょうよ。
それだけミリアニにおける徳川まつりの描写は秀逸だった、キャラクターの個性を描くのもキャラクターの扱いに対する説得力を持たせるのも上手い。
そして何より凄いのは、これが徳川まつりに限った話では無いということ。
ステージを大きく映した中でまつりが1人でパフォーマンスをしている構図が、改めてソロをやる重さと言うかハードルの高さを感じさせているのが個人的に好きですね。
それがまたソロを歌い切るアイドルの強さを物語ってる気がします。
③チョー↑元気Show☆アイドルch@ng!
アイマスでは特別な曲に@が付くのですが、ソロ曲でありながら唯一@が付くのがこの松田亜利沙のソロ曲『チョー↑元気Show☆アイドルch@ng!』なのです。
@を付けた由来は作詞した松井洋平氏曰く以下のようになってます。
009.『チョー↑元気Show☆アイドルch@ng!』全てのアイドルへのリスペクトを込めた@です。松田亜利沙にしか歌えない曲とは?を考えすぎて、とにかく上がる!元気!アイドルちゃんのShowは素晴らしい!もはや超常現象!からこのタイトルになった…ような#imaStayHome
— 松井洋平 (@y_matwee) 2020年5月9日
一見すると電波ソングですが、コールで盛り上がるアイドルの王道をいくナンバーで、歌詞を読み解くと物凄くエモい!
アイドルとそのファンをアファーメーションするまさにアイドルオタクにしてアイドルの松田亜利沙を象徴する曲です。
そんな色んな意味を持つこの曲をアニメ最終話に使ってもらえたことに感無量です。
ステージで踊る亜利沙も本当に良かった。
激しいダンス、弾ける笑顔、盛り上がる客席。
ワンカットとは言え、そこには確かにアイドル松田亜利沙のステージがありました。
そんな亜利沙の成長を物語る奈緒も良い味出してましたね。
④バトンタッチ
個人的な印象では、CGモデルの強みがこの上なく活かされた一曲。
中谷育ちゃんの表情であったり、宮尾美也や箱崎星梨花の髪がダンスに合わせて揺れるところとか、CGアニメが手描きアニメを越えた瞬間を目の当たりにしました。
照明やカメラワークに頼らなくても、ここまでやれるのか……。
⑤Sentimental Venus
まずテレビの前のTeam1st可愛すぎる。
同じチームの杏奈を応援しようとする気持ちが全身から溢れていた。
椅子の後から身を乗り出す志保なんて初めて見ました。普段クールな志保の素の部分というか年相応の部分と言いますか。良い、超良い。
また、途中電源が落ちるトラブルが起きますが、僕はミリシタがリリースされて以降にミリオンライブを知った為、恥ずかしながら2015年4月5日に行われたライブでのアクシデントはこの12話を見るまで全く知りませんでした。
なのでこの演出の意図や意味を完璧に理解している訳ではないですが、何も知らない僕にも響くものがあった素晴らしい演出だったと思います。
決して古参のプロデューサーだけに向けた演出でもなければ、作り手の自己満足でもないでしょう。
⑥コンテンツの存続に必要なものとは? ミリオンライブにかかわる全ての人の思いが表現されたシーンで考えてみる
客席から声を上げ、後輩のもとに走り出した千早
何が出来るか分からないまま楽屋から飛び出した未来
「ここで終わりたくない」と感情を絞り出すプロデューサー
客席からコンサートライトを振って応援するファン
登場人物が皆、頭じゃなくて感情で動いてるのが物凄く好きでした。
とかく昨今でアプリゲーを中心に、売上が立たないとサービスが存続出来ないという風潮になってるんですが、それって結構的外れだと思うんです。
コンテンツが存続していく為に最も必要なもの、それは「情熱」要するにやる気なんですよ。
www.forumromanum.me
以前何度か取り上げさせていただいのですが、このグリモアA2020年にサービス終了した後に、別のゲームとコラボしたり、公式サイトで小説を連載したりとかなり異色の展開をしてるんですよ。
見てたら分かるんですけど、やる気さえあれば幾らでもやれるんですよ。
そこに支えようとする熱いファンがいて、期待に応えようと奮闘する作り手がいれば、どんな形であれ繋いでいけるんですよ。
そこを間違えたら、ゲーム、アニメ、漫画と言った本来は芸術や文化に属するものが、単なるプロダクトに成り下がってしまう。
そうなると本当に日本のサブカルチャーは終わりです。
ミリオンライブが血の通った作品としてこうして10年続けてこれたのって、やっぱ情熱なんですよ。
損得抜きで動いてる人が、スタッフ側にもプロデューサー側にもいるからなんですよ。
足りないのは知性、なんて自虐込みで良く言われますが、そこにミリオンライブの強みがあって、その強みが最終話にしてしっかり目に見える形で描かれていたと思います。
⑦瑠璃色金魚と花菖蒲
バカみたいに強い。
指先まで意識されたダンスと言い、蒼く透き通る金魚のエフェクトと言い、めちゃくちゃ綺麗で圧倒されました。
金魚が龍になって昇る演出はまさに白石紬そのものでしたね。
この小鳥さんと同じ表情浮かべてました。
激しさと美しさがここまで両立するんですね。
こればかりは映画館で見れて本当に良かった。
⑦ハミングバード
紬が1度途切れたバトンを拾って走り出したのだとしたら、歌織さんはそのバトンをしっかりと受け止めて次に繋げる役目。
ここに来て、ゆったりとした曲調が物凄く心に染み入ってきます。
本当に緩急の付け方が上手い。
私が今
できること
それは歌うこと
ここで完全に涙腺をやられました。
⑦オレンジノキオク
構成上の話をすると、止め絵を挟みながら一気にクライマックスへのラストスパートをかけていくターム。
ハミングバードから少しずつ加速していくテンポが心地良い。
ミリアニはとにかく構成が上手いという話をし続けてますが、1話通して、或いは12話全体を通してみた時に、1本の音楽を聴いてるような感覚になるんですよね。
オレンジノキオクに話を戻すと、切なく清楚な雰囲気で琴葉、百合子、風花さんは凄くピッタリだし、恵美の表情なんかも普段とのギャップでグラっとくる、そして何より環が歌うことによるギャップが凄い。
変な話、水着回よりよっぽど色気を感じたのですが僕だけでしょうか。
そしていちぽむサンドイッチ。
尊いが過ぎる。
⑦REFRAIN REL@TION
ライブのトリを飾るに相応しい、クオリティでした。
やっぱ春日未来はソロでステージに立つより、センターとして立つ方が輝きますね。
それも3人や5人ユニットのセンターとしてではなく、ミリオンスターズと言う名の39人ユニットのセンターとして……。
ミリオンライブの代名詞とも言える39人の一体感、それがステージで表現されるシーン。これを最高と言わずして何を最高と言えば良いのか。
そしてライブを締める言葉が「ありがとう」
どこまでもこのアニメはTHE IDOLM@STER MILLION LIVE!でした。
最後に
これにて、ミリアニの良いところ7選シリーズも最終回となります。
5年以上の歳月をかけて素敵な作品を世に出してくれたことに感謝したいです。
良い悪いは好みがあるのであえて言いませんが、それでもこの作品ほど愛の籠もった作品を僕は知りません。
途中で触れたように、作品において最も大事なのは情熱なんです。
僕たちは心を持った人間で、作品を通して心を通わせていく。
そんな血の通った作品を今後も紹介して、たくさんの人と言葉や想いを交わしていけたらと思います。