今回紹介するのは、実在したチーフ・エクソシスト、ガブリエーレ・アモルト神父をモデルに製作された映画「バチカンのエクソシスト」です。
本作は2023年夏に日本で公開されると、ラッセル・クロウ演じるアモルト神父が小型オートバイ、ベスパに乗っている姿がSNSで話題を呼び、ファンアートが多数作られました。
また、本作のプロデューサーを努めたジェフ・カッツォ氏がX(旧Twitter)で日本のファンと積極的に交流を行うといったこともあり、カルト的な熱狂を生んでいました。
そんなわけで名前だけは知ってるという人も多いでしょう。しかしホラー映画ということもあって敬遠してる人もいるはず。そんな方に向けて本作の映画としての魅力を余すことなくお伝えしていけたらと思います。
あらすじ
1987年7月――サン・セバスチャン修道院。
アモルト神父はローマ教皇から直接依頼を受け、憑依されたある少年の《悪魔祓い》(エクソシズム)に向かう――。変わり果てた姿。絶対に知りえないアモルト自身の過去を話す少年を見て、これは病気ではなく“悪魔”の仕業だと確信。若き相棒のトマース神父とともに本格的な調査に乗り出したアモルトは、ある古い記録に辿り着く。中世ヨーロッパでカトリック教会が異端者の摘発と処罰のために行っていた宗教裁判。その修道院の地下に眠る邪悪な魂――。
全てが一つに繋がった時、ヴァチカンの命運を握る、凄惨なエクソシズムが始まる――
①ホラー要素は薄め
僕にとってホラーの醍醐味はズバリ未知の恐怖。
対処方法が分からないから恐いのであって、以前紹介したウィリーズ・ワンダーランドのように、ニコラス・ケイジの圧倒的暴力が通用すると早々に分かってしまったら、後は完全にバイオレンス映画になってしまいます。
本作の場合も敵は悪魔だと早い段階で分かってますし、祈りの言葉で苦しんだりとエクソシストの力が通用する描写もあり、どこか頑張れば倒せそうな雰囲気があるんですよね。加えて、勝ち筋も途中ハッキリと明示されますのでホラー成分は控えめといって差し支えないでしょう。
②エクソシストVS悪魔のバトルは見応え抜群
少年に取り憑いた悪魔の攻撃方法が、念力で人を吹き飛ばしたり幻覚を見せたりでスピード感のある演出も相まってホラーというよりは超能力バトルをメインに据えたアドベンチャー映画といった印象。
決して予算が潤沢にある大作映画というわけでは無いと思うのですが、カメラワークと演出が巧みでチープさは微塵も感じさせない迫力のある映像になってます。
少年に取り憑いた悪魔の真の名を暴く為に舞台となる廃修道院を探索するパートがあるんですが、そこがまた見応え十分。
美術の出来も非常に良くて、秘密へと迫る没入感を引き立ててました。
成長するもう一人の主人公
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僕がこの映画を見て一番気に入ったキャラクターは写真奥にいるダニエル・ゾヴァット演じるトマース・エスキベル神父 。
彼は舞台となるスペインの田舎で神父をしていたのですが、成り行きでアモルト神父と悪魔との戦いに巻き込まれた不運な青年です。
そんな彼ですが、物語が進んでいくに連れてアモルト神父の相棒としてどんどん成長していきます。
これが本当に良かった。
少年マンガとともに生きてきた僕のような人間からすると、成長する主人公とその師匠のコンビには童心を擽られずにはいられませんでした。
まとめ
映画ヴァチカンのエクソシストはズバリ少年マンガ。
ジャンプで打ち切られだけどそこそこおもしろかったバトルマンガと似た空気を感じました。
身構えずに楽しめる娯楽映画としては調度良くまとまってますので、個人的にはとてもオススメです。