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歴史と幻想の水先案内人

これがSFスローライフの決定版 楽園: 戦略拠点32098

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レーベル:角川スニーカー文庫
著者:長谷敏司
イラストレーター:CHOCO
発売年月日:2001年12月

 円環少女を代表作に持ち、『My Humanity』で第35回日本SF大賞を受賞した長谷敏司のデビュー作。

 イラストを担当したのはCHOCO、2022年に発売されたゼノブレイド3にアートワークとして参加していますが、既にこの頃からSFジャンルに対する造詣の深さが窺えます。

 そんな二人の経歴からも想像がつくように本作はハードなSF色を前面に出しながら、初めてSFに振れる中高生にも読みやすいライトノベルのお手本のような作品だと思います。

あらすじ

青く深く広がる空に、輝く白い雲。波打つ緑の草原。大地に突き立つ幾多の廃宇宙戦艦。-千年におよぶ星間戦争のさなか、敵が必死になって守る謎の惑星に、ひとり降下したヴァロアは、そこで、敵のロボット兵ガダルバと少女マリアに出会った。いつしか調査に倦み、二人と暮らす牧歌的な生活に慣れた頃、彼はその星と少女に秘められた恐ろしい真実に気づいた!新鋭が描く胸打つSFロマン。第6回スニーカー大賞金賞受賞作品。

オススメポイント

 ストーリーは人類連合が守る惑星、戦略拠点〈32098〉に降り立った汎銀河同盟の兵士ヴァロワが、惑星に隠された謎に迫る中で、この星でたった一人の人間の少女マリアの秘密を知る……という展開で進みます。
 
 SF要素が随所に散りばめられていながらもメインは謎解きなので、非常に読みやすいですね。

 またロボット兵を交えた3人での生活のシーンは自然とオーバーテクノロジーが融合した未来的なスローライフが描かれていて

 ここ数年流行った異世界スローライフものが好きな人にとっては一見の価値ありだと思います。

 またヴァロワのキャラが良いですね。
 アーノルド・シュワルツェネッガー演じる男臭い歴戦の兵士そのもので、2001年という当時の感覚もありますが、SFを良く知らない人でもスッと話に入っていきやすい主人公なんですよ。

 ヒロイン、マリアが主人公と恋愛関係になり得ない幼い少女というのも良いですね。
 女性ではなく子どもの前で見栄を張るところが、ヴァロワをより魅力的にしているように思えます。

最後に

 今はAmazonプライムのようなサブスクで田舎に住んでも深夜アニメが見れますし、オタクやるのに良い時代になったと思います。

 私が田舎で学生やってた時代は本屋だけが全てで

 その中でも特にライトノベルを表紙自分にとって新境地を開拓する手段でした。

 この作品は私にとってSFへの扉を開いた印象深い作品ということで、紹介させてもらいました。