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歴史と幻想の水先案内人

アニメを見た人に伝えたい、小説版異修羅の魅力

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 今回紹介するラノベはアニメも絶好調の『異修羅』です。
 アニメも豪華キャストを起用して非常に見応えあるんですが、珪素先生の筆致で描かれる異修羅の世界も是非触れて欲しい。
 これまで活字に触れたこと無い人にこそ、これを機に小説だから出来る表現に出会って欲しい。
 その意味では本作ほどおすすめしやすい作品は無いかと思います。

レーベル:電撃の新文芸
著者:珪素
イラストレーター:クレタ
発売年月日:2019年9月

あらすじ:最強VS最強

 魔王が殺された後の世界。
そこには魔王さえも殺しうる修羅達が残った。
一目で相手の殺し方を見出す異世界の剣豪、音すら置き去りにする神速の槍兵、
伝説の武器を三本の腕で同時に扱う鳥竜の冒険者、一言で全てを実現する全能の詞術士、
不可知でありながら即死を司る天使の暗殺者……
ありとあらゆる種族、能力の頂点を極めた修羅達はさらなる強敵を、“本物の勇者”という栄光を求め、新たな闘争の火種を生み出す。
全員が最強、全員が英雄、一人だけが勇者。“本物”を決める激闘が今、幕を開ける――。

緻密に練られた世界観

 異世界という言葉がこれほどしっくり来る世界観も無いでしょう。

 特に自分が惹かれたのは、全ての登場人物に二つ名があるという設定です。
 そのワードセンスが独特で格好良くて、作品の雰囲気を形作るのに大きく貢献しているように感じました。
 声に出すと小気味良い旋律を奏で、それが本作の魔法に当たる『詞術』との関連性も感じさせてくれます。
 私達の住む世界とは異なる文化や価値観を持っていて、それがこちらの世界とは異なる物理法則に基づくものだと、頭じゃなくて肌身で感じることが出来ました。

 そうするとドラゴンやゴブリン、オーガといった馴染み深い種族に対しても見え方が変わってくると言いますか、作品世界に応じた解釈が自然と出来るようになった気がします。

 

戦略と駆け引きが交差する異世界チートバトルファンタジーの最高峰

 本作のバトルにおける最大の魅力は最強能力どうしの矛盾対決とでも言うべきでしょうか。
 アニメだと視覚的に今何が起きてるか分かりやすいのですが、本作は目に見える派手な演出より相手を嵌める戦略や心理的な駆け引きの方が面白い。
 彼等の戦いは戦略的かつ独創的で練りに練られており、こうした緻密な描写はアニメより地の文で補強できる文字媒体の方が強いと思います。


今ならなんと無料で読める。

 実は本作、文庫として刊行される前はカクヨムで連載されてました。
 書籍版とは内容が大きく変わっていたりしますが、これまで上げた本作の魅力はしっかり味わえると思います。
kakuyomu.jp

 試し読みして気に入れば、是非紙の書籍で購入してみて下さい。