今回は久しぶりに掘り出し物なB級映画を見つけたので、レビューしていきたいと思います。
その作品とは、こちら!
『デイライツ・エンド』です。
2016年に公開された本作品は、荒廃した世界を舞台に人類とゾンビが戦う純度の高いB級ホラーアクションとなっています。
傑作映画にも引けを取らない部分とB級映画らしい残念な部分とが混在し、B級映画入門としてはかなりオススメ出来る作品だと思います。
それではレビューを始めて行きましょう。
あらすじ
謎のウイルスによって荒廃した世界で一体のクリーチャーを追う流れ者のロークは、とある廃墟で強盗集団に襲われる女性サムを助ける。彼女の案内で警察署に身を隠すグループと出会ったロークは、警察署を襲撃するクリーチャーたちが彼の妻を感染させたクリーチャー、アルファに率いられていることを知る。アルファと戦う決意を固めたロークは、彼に賛同する生存者と共にクリーチャーたちの寝床であるビルに襲撃をかけるが…。
作品の雰囲気とベストマッチした俳優陣
残念な映画にありがちなのは、作品の雰囲気に合っていないキャスティングによって映画全体の雰囲気が白けてしまうことです。
しかし本作はそう言ったノイズになる人物が一人もおらず、作品の世界観に没頭することが出来ました。
特に主人公トーマス・ロークを演じるジョニー・ストロングが素晴らしい。
寡黙で無骨なキャラクターを見事に体現しており、キレのあるアクションからは確かな戦闘技術と強い意思を感じさせ、まさに主役にふさわしい存在感を放っていました。
脇を固める俳優陣も実力派揃いなのでしょう。どの登場人物にも極限状態を生きるサバイバーとしての風格があり、作品全体に重厚感を与えていました。
またエキストラの数もこの手の映画にしてはしっかり数が用意されており、主人公が身を寄せる生存者のコミュニティや襲い掛かるゾンビの群れが映るシーンでも、画面が貧相にならずに済んでいました。
限られた予算ながら頑張っている美術
この手の映画にしては見ていて殆ど違和感がありませんでした。
ポストアポカリプスにしては建物も車も衣服も小綺麗だなと思わないことも無かったんですが、そこは映画としての見栄えとリアリティとの落とし所って考えるとまぁ許容範囲です。
そう言う意味では予算的な制約がある中でも最後まで世界観を崩すことなく一定のクオリティで走りきったというのは評価すべきことだと思います。
割と様になっているアクション
本作のアクションは、ハリウッドの派手な演出とは異なり、実戦を意識したリアル志向のガンアクションが特徴です。登場人物たちが使用する銃火器の扱いは非常に丁寧で、無駄撃ちをせず、弾薬の管理を徹底している点もリアリティを感じさせます。
特筆すべきはロシア人俳優のアクション。 実は元スペツナズのロシア系俳優が出演していて、仲間と逸れてゾンビと戦うシーンは無駄が一切無く息をするのも忘れる程でした。彼の戦闘シーンはキレがあるだけでなく、動きにも説得力があり、実際の戦闘経験者ならではのリアリティが感じられました。
気になる点と総評
本作はアクションや映像美の面では非常に優れていますが、一方で脚本の説明不足が気になる点として挙げられます。登場人物の背景や世界観の詳細な説明がほとんどなく、観客が自分で補完しながら観る必要があります。そのため、物語の理解が難しく感じる部分もあるかもしれません。
しかし、それを補う演出の工夫や映像の説得力があるため、アクション映画として楽しむ分には十分に満足できる内容です。リアル志向のポストアポカリプス作品が好きな方、無骨な男たちが活躍する映画が好きな方には特におすすめです。