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ゾンビランドサガR考察 山田たえの正体について

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2018年に大きな反響を生んだゾンビランドサガ

©️ゾンビランドサガリベンジ製作委員会

その続編となるゾンビランドサガRが今年の4月よりスタートしました。

ハイテンションなノリとシリアスなアイドル要素との高低差で視聴者を振り回す絶叫マシーンのような本作ですが、明らかになっていない謎が多く色々と考察しがいのある作品でもあります。

今回はそんなゾンビランドサガの中でも最大の謎と言ってもいい、山田たえの正体について考察していこうと思います。

山田たえがゾンビ0号である謎

©️ゾンビランドサガ製作委員会

一期終盤においてフランシュシュのプロデューサー巽幸太郎が生前のさくらの同級生だった事実が明らかにされました。

このことから多くの人が、巽幸太郎の目的は想い人だったさくらを甦らせ彼女の夢だったアイドルとして成功に導くことだと解釈していました。

そうなるとゾンビ1号である源さくらの為に2号から6号までのメンバーを集めたわけになるのですが、そこで引っ掛かるのが山田たえの存在です。

彼女はゾンビ0号としてさくら達より先に蘇生されています。

これは、山田たえを中心にしたプロジェクトが存在していたことを意味しているのでは無いでしょうか。

そう、元々あった別の計画を幸太郎がゾンビランドサガプロジェクトへと書き換えたのです。

何故幸太郎はやさぐれたか、ゾンビランドサガプロジェクトの真の目的とは何か

私がそう考えるようになった理由はゾンビランドサガR第一話、駅前不動産スタジアムでのライブが大失敗に終わったことで、自暴自棄になった幸太郎がバーで酔い潰れていたシーンです。

幸太郎は事情を知っているらしきマスターに対してプロジェクトには時間が限られており、タイムリミットから逆算すると今回の失敗を取り返すことは不可能だという旨の発言をしています。

どうやら幸太郎にとってアイドル活動はある目的を果たすための手段だったようです。

その目的こそ、山田たえが蘇生された当初の計画と大きな関係があるように思えます。

bar徐福のマスター

©️ゾンビランドサガリベンジ製作委員会

さて、ここで少し脱線してバーのマスターの正体について触れておきましょう。

既に多くの人が予想しているように彼は徐福に間違いないでしょう。

店の名前は『BAR New Jofuku』ですし、幕末を生きた夕霧と生前交流があったとも語っていました。

徐福とは秦の始皇帝に東方の島に不老不死の霊薬があると進言し、それを信じた始皇帝の命によって霊薬探しの旅に出た人物です。

実は彼が旅の果てにたどり着いた地が今の佐賀県という説があり、佐賀市を中心に数々の伝説が残っています。

このことからも、マスターは霊薬を手に入れ不老不死になった徐福であると見てよさそうです。

そんな彼の存在は本作の世界観が佐賀にまつわる伝説や伝承に依って立つことを示唆しています。

大山田女(オオヤマダメ)・狭山田女(サヤマダメ)の伝承

佐賀に纏わる伝承の中でも最も史料的価値が高いのが現在の佐賀から長崎にかけての地域の成り立ちを記した奈良時代初期の書物『肥前国風土記』です。

出典:http://www.f.waseda.jp/hisaot/hizenhudoki/hizenhudoki00a.html

その中に興味深いエピソードがあります。

この川の川上には荒ぶる神がおり、道を行き交う人々の半数を生かし、半数を殺した。そこで県主らの祖である大荒田(オオアラタ)が占って鎮める方法を問うた。

その時に土蜘蛛の大山田女(オオヤマダメ)と狭山田女(サヤマダメ)という2人の女が「下田村の土を取り、それで人形と馬形を作って この神を祀れば、必ず和らぐことでしょう」と言ったので、大荒田はこれに従って神々を祀ると、神は歓んで和やかになった。

そこで、大荒田は「彼女らは実に賢い。これを以って賢女(さかしめ)を国の名としたい」と言った。これによって賢女郡と名付けられ、今は訛って佐嘉郡となった。
出典:肥前国風土記 現代語訳-人文研究見聞録

ここで出てくる『山田』という名前、山田たえと何か関係があるのでは無いでしょうか。

山田たえの正体とは

土蜘蛛と聞いて「え、山田たえは妖怪だったの!?」と思った方、ちょっと待ってくださいね。

史料研究において土蜘蛛とは一般的に、大和朝廷の統一に抵抗した土着の勢力と解釈されています。

大山田女・狭山田女に関しても卑弥呼のようにシャーマンとしての力を持った女性指導者だったと捉えた方が良いでしょう。

なので山田たえ=土蜘蛛と考えた場合、彼女は大山田女・狭山田女の力を今に受け継ぐ古代佐賀人最後の生き残りだったのでは無いでしょうか。

何故アイドルが佐賀を救うのか

このように伝承を紐解いた後だとアイドル活動も違った見え方をしてきます。

と言いますのも、歌や踊りを神様に奉納する行為は古今東西ありとあらゆる文明で行われてきた人類の根元的な営みです。

ゾンビランドサガプロジェクトの最終目的は、歌と躍りを奉納し来るべき災いを祓うことにあったのでは無いでしょうか。

そして元々の計画では、大山田女・狭山田女の力を今に残す山田たえの力を用いて何らかの儀式を執り行う予定だった。

来るべき災いが何なのか、それを何故事前に察知できたかは未だ謎ですが、これはかなりいい線を行ってるのでは無いでしょうか。

まとめとこれからの展開

以上を纏めると

①幸太郎は高校時代の思い人である源さくらの夢を叶える為にゾンビランドサガプロジェクトを立ち上げる。それは山田たえを基軸にした別の計画を書き換えたものだった。

②幸太郎の理解者であるバーのマスターは不老不死の霊薬を手に入れた徐福。彼の存在から本作が佐賀に纏わる伝説伝承を下敷きにしていることが分かる。

③佐賀の伝承と言えば『肥前国風土記』この書物には大山田女・狭山田女と呼ばれる土蜘蛛の協力で荒ぶる川の神を鎮めた伝説が記されている。

④山田たえは土蜘蛛の血を引いた女性で特別な力を持っている。

⑤ゾンビランドサガプロジェクトの最終目的は神に歌と躍りを奉納し災いを祓うことで、元々その役目は山田たえが担う予定だった。

となります。

今後の展開を予想させて頂くと、奉納が失敗したフランシュシュの危機に山田たえが覚醒し、凄い力を見せてくれるのでは無いかと期待しています。