ほぼ週刊★平民貴族

心豊かに生きることをテーマにした雑誌ブログ。主に映画と歴史と書籍について書いています。

東京大学入学式祝辞で感じたこと

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あくまで私が感じたことです。

批判するつもりで書いたものではないのでそこのところよろしくお願いします。

祝辞全文は以下のリンクから

www.u-tokyo.ac.jp

冒頭で東京医科大不正入試問題を取り上げたことについて

入学式の祝辞において男子学生と女子学生とで受け取り方が大きく変わってしまう話題を選んだのは悪手だったかなと思う。

いきなり入学試験における女子学生に対する差別を実例に持ってくれば、女性を称賛し男性を批難してるととられてもおかしくない。

実際私も最初冒頭を読んだときはかなりモヤモヤしました。

もちろん全文を読めば真意が別のところにあることは分かります。

ただスピーチとして掴みの部分で聞き手の心を悪い意味で揺さぶると、話を最後まで聞いて貰うことは難しくなるんじゃ無いかとおもいます。

伝え方で損してるなーって印象。

でもこればかりは分からない。痛みの伴うメッセージこそ心に刺さる人もいるだろうし。

部下や後輩を指導する立場でもある私としては「自分ならどう伝える?」「どう伝えると誰も傷つかずにすんだかな」と考えさせられました。


その他女子学生を取り巻く状況について

その後も話題は女子学生を取り巻く状況についてです。

東京大学の女子生徒が東京大学出身と打ち明けられないこと

東大工学部と大学院の男子学生5人が、私大の女子学生を集団で性的に凌辱した事件

東大には今でも東大女子が実質的に入れず、他大学の女子のみに参加を認める男子サークルがあること

などについてお話しされてました。

ともすれば、一方的に男性を悪者扱いしてるようにも捉えられるのですが(実際私はそう感じてしまいましたが)

言ってはないんですよね

言わずして言いたいことを匂わせるやり方もあるにはある。

実際にはそう匂わせてたかもしれない。

けど言ってはいない。

なぜなら、男性の価値と成績のよさは一致しているのに、女性の価値と成績のよさとのあいだには、ねじれがあるからです。女子は子どものときから「かわいい」ことを期待されます。ところで「かわいい」とはどんな価値でしょうか?愛される、選ばれる、守ってもらえる価値には、相手を絶対におびやかさないという保証が含まれています。だから女子は、自分が成績がいいことや、東大生であることを隠そうとするのです。

この辺りは事実から一歩踏み込んで自身の見解について述べてますが

冷静に読み返すと事実を述べるにとどまり、受けた印象ほどのことは書いてないと感じました。

ただ、東大出身だと堂々と言える女性もいるでしょう。悪い女に引っ掛かって酷い目にあう男もいる。男も女も入れるサークルだってある。反例はいくらでもあるでしょう。

東大の教授ともなれば「そんなこといちいち言わなくても分かるだろう」という感じかもしれない。

その辺のフォローが足りないせいで一部を切り取って全てがそうであるかのように見せているようにも捉えられかねないし、自分の見たいものだけを見ている視野の狭い人間だと思われるかもしれません。

最後まで読んだ後でもここは言葉足らずだなと思います。

女性学のパイオニアとしての上野教授のこれまでの歩みについて

>>こういうことを研究する学問が40年前に生まれました。女性学という学問です。のちにジェンダー研究と呼ばれるようになりました。私が学生だったころ、女性学という学問はこの世にありませんでした。なかったから、作りました。<<

この一文を読んだ瞬間、「お、流れが変わったな」と私は感じました。

この下りは上野教授がどんな思いで研究の道を進んだのか人となりも伺い知れてとても引き込まれました。

スピーチにおいて話者に興味を持ってもらうことはとても大切なので、ここを祝辞の冒頭部分に持ってきた方が分かりやすかったんじゃないでしょうか。

それだけこの祝辞の冒頭部分は本筋と関係ないことまで考えさせてしまったのだと私は思います。

そしてついに本題へ

あなたたちはがんばれば報われる、と思ってここまで来たはずです。ですが、冒頭で不正入試に触れたとおり、がんばってもそれが公正に報われない社会があなたたちを待っています。そしてがんばったら報われるとあなたがたが思えることそのものが、あなたがたの努力の成果ではなく、環境のおかげだったこと忘れないようにしてください。あなたたちが今日「がんばったら報われる」と思えるのは、これまであなたたちの周囲の環境が、あなたたちを励まし、背を押し、手を持ってひきあげ、やりとげたことを評価してほめてくれたからこそです。世の中には、がんばっても報われないひと、がんばろうにもがんばれないひと、がんばりすぎて心と体をこわしたひと...たちがいます。がんばる前から、「しょせんおまえなんか」「どうせわたしなんて」とがんばる意欲をくじかれるひとたちもいます。

あなたたちのがんばりを、どうぞ自分が勝ち抜くためだけに使わないでください。恵まれた環境と恵まれた能力とを、恵まれないひとびとを貶めるためにではなく、そういうひとびとを助けるために使ってください。そして強がらず、自分の弱さを認め、支え合って生きてください。女性学を生んだのはフェミニズムという女性運動ですが、フェミニズムはけっして女も男のようにふるまいたいとか、弱者が強者になりたいという思想ではありません。フェミニズムは弱者が弱者のままで尊重されることを求める思想です。

これがこのスピーチで一番伝えたかったことなのだと思います。

単に私の心に一番響いたというだけかもしれませんが(^_^;)

このメッセージを伝えるためにジェンダー研究の第一人者が自身の専門分野を例に上げたのだとすると筋は通るのかなと。

このテーマなら経済格差や家庭環境を例に取り上げた方が良いようにも感じますが。

最後に

私は頭が悪いので文章で何度も読み返すことで話の構成や伝えたい主題をなんとか理解することが出来ましたが、スピーチで聞いたら冒頭からの着地点が読めなくて困惑するし、明るくない話題が続きお祝いムードに水を差されたと感じるでしょう。

ただジェンダーに関わらずこの世界は不平等で不公平で理不尽なことがありますしそれは東京大学の学生に関わらず私達一人一人に降りかかってくる問題です。

自分の身に置き換えてこの話を咀嚼することが出来たのは私にとってはとても良かったかなと思います。